広げるよりも、深く向き合う。ソトメグロ弁当の拡大をやめた理由

2026年1月27日

この記事の結論

ソトメグロ弁当の事業拡大を、やめました。

事業としては成立し始めていました。
評価がなかったわけでもない。失敗したわけでもありません。

ただ、現場を見て、拡大しないという判断をしました。
代わりに、月に2回、地域の方に喜んでもらえる形で続けることにしました。

この記事では、その判断に至った経緯を整理します。


事業としては、成立し始めていた

ソトメグロ弁当は、東京・目黒で運営してきた弁当事業です。

お客様も付いてくださり、現場も回り始めていました。
売上は伸びる方向にあって、続けようと思えば、続けられる状態でした。

私自身、2店舗目、海外展開、忙しく働く人たちが安心して食べられる弁当として広げること、を視野に入れていました。
事業として拡大していく前提で、設備やオペレーションを考えていました。


現場で起きていた、両立の難しさ

一方で、現場では以下のような状況が生まれていました。

  • 販売数を増やすと、製造に負荷が偏る
  • 製造の限界が先に来る
  • 結果として、期待だけが広がり、購入できなかった声も増えていく

この両立を引き受け続けることに、少しずつ違和感を感じるようになりました。

現場では、ズレが出始めていました。
机の上では「進める」、現場では「止まる」という乖離が、日々大きくなっていきました。


数字だけ見ていれば、「進める」判断だった

数字だけを見ていれば、「進める」判断だったと思います。
売上は伸び、案件もあって、目算上は拡大の判断材料は揃っていました。メディアにも取り上げられて遠方からもお客様が来られるようになりました。

しかし、現場で動いている自分には、「止まる」判断が出始めていました。

数字や計画だけでは判断できないことが、目の前で起きていた。

判断は、机で考えるものではなく、現場で引き受けるもの。

そう感じるようになったからです。


続けることはできた。ただ、続けたい形ではなかった

続けること自体は、できました。
ただ、事業として拡大していく形は、続けたい形ではありませんでした

2店舗目を出す。
海外展開を考える。
製造数を増やし、より多く売る。

数字だけを見れば、その方向も選択肢に入っていました。
ただ、現場で見えていたのは、別の答えでした。

そこで、事業として拡大していく判断は、採りませんでした。
代わりに、月に2回、地域の方に喜んでもらえる形で続けることにしました。

評価がなかったわけでもなく、失敗したわけでもありません。
現場を見て、事業を拡大しない選択をした、ということです。


月2回という形が、いまの答え

月2回という頻度は、効率だけを考えれば、大きな事業ではありません。

ただ、地域の方に喜んでもらい、自分たちが納得できる品質で届けるには、いまの形が合っている

AIや数字では、「もっと拡大できる」と出るかもしれません。
しかし、人間が現場で引き受けられる形は、別にあります


ここで動いていた「仕上げ」の判断

この判断は、Constructの「仕上げ」の考え方と、構造が同じです。

AIで作れるものと、人間が引き受けるべきものの違いは、現場でしか分からない。

事業の拡大も、同じです。
数字で進められる事業と、人間が引き受けたい事業の違いは、現場でしか分からないのです。

ソトメグロ弁当は、私が「人間として引き受けたい」事業でした。
だから、数字で進められる規模に拡大せず、地域に喜ばれる形で残す判断ができた。


拡大しないことも、判断のひとつ

経営の文脈では、「拡大」が前提に置かれがちです。
売上を伸ばす、店舗を増やす、メンバーを増やす。

ただ、拡大しないことも、立派な経営判断です。

何を引き受け、何を引き受けないか。
何を残し、何を変えるか。

この判断を、現場で引き受けることが、いまの私の仕事のかなりの部分を占めています。


よくある質問(FAQ)

Q. ソトメグロ弁当は、失敗したのか?

A. 失敗ではありません。事業として成立していたものを、現場の判断で拡大しない選択をしただけです。月に2回、地域の方に喜んでもらえる形で続けています。

Q. なぜ、拡大できる状態で拡大しなかったのか?

A. 2店舗目や海外展開の方向は数字としては選択肢でしたが、製造の限界が先に来る、現場で起きていたズレを引き受けられない、という判断がありました。

Q. 数字上の判断と、現場での判断は、どう違うか?

A. 数字だけでは「進める」判断でしたが、現場の実態を見て「止まる」判断になりました。

Q. 現在の営業形態は?

A. 月に2回、地域の方に喜んでもらえる形で続けています。事業拡大ではなく、無理なく品質を保てる形を選んでいます。

Q. この判断から得た学びは?

A. 拡大しないことも、立派な経営判断であるということ。そして、拡大しなくても、残し方の選択肢はある、ということです。

Q. Constructの「仕上げ」と、何が共通しているか?

A. 「数字で進められるものと、人間が引き受けたいもの」を分ける判断軸が、同じです。

TakafumiMurata村田崇文

村田崇文 / Takafumi Murata

株式会社Construct 代表取締役
一般社団法人ジャパンフードクリエイティブ協会 代表理事

アクセンチュア、DeNAを経て独立。
食の現場、店舗IT、グローバル小売、金融、大手EC、AIツールの検証を行き来しながら、現場のズレを判断に変える仕事をしています。

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